18世紀よりヨーロッパからの移住が始まったオーストラリアは、かつては長年に渡り、有色人種の移民を禁止する白豪主義の政策が取られていたことは日本人もよくご存知でしょう。その後、広大な土地を要するオーストラリアでは人手不足の深刻化に伴って、多くの移民を受け入れる他文化国家主義を採用することで大きな発展を遂げてきました。
現在では特に主要都市を始めとして様々な文化が入り混じる大変興味深い国となっています。
日本がワーキングホリデー制度を最初に締結した国がオーストラリアであり、1980年から多くの日本人がワーホリを利用してオーストラリアに渡航し、現在は接客業から力仕事まで、多岐にわたる仕事の選択肢があります。
オーストラリアでは、ワーキングホリデービザでの就労に関する制限はなく、同雇用主のもとで最大6ヶ月まで働くことが可能です。2023年現在のオーストラリアの最低賃金は23.23ドル(2,259円)と、日本の最低賃金と比べるとはるかに高い金額が定められている点も非常に魅力的です。
そして何よりも、世界各国から来た多種多様な文化、言語、バックグラウンドを持つ人々と共に仕事ができることは、人生の中で貴重な経験となるでしょう。
今回は、オーストラリアにワーキングホリデーで訪れている人々や外国人留学生が従事している主な仕事について、必要とされる英語力、平均賃金などを交えながらご紹介させていただきます。
日本食レストラン
ワーホリで来ている日本人の就業先として最も多いのが、日本食レストランでのキッチンや接客です。
ご自身の英語力によって任されるポジションが変わります。オーストラリアに来たばかりでまだ言語に自信のない方は、キッチンでの皿洗いから始めることが多いです。ただし、日本人が多数を占める職場では、キッチンでの調理や盛り付け作業も任されることがあります。
日本食レストランと言っても移民国家のオーストラリアですので、職場には韓国人、台湾人、中国人を始めとした日本人以外の人たちも多く働いています。仕事中の会話はすべて英語となりますので、キッチン作業でもある程度の英語力は必要です。
接客の場合は、お客様のオーダー取りやその他ニーズに応える必要がありますので、日常会話程度の英語力が求められます。
キッチン・接客の仕事を覚え、お客様とスムーズに会話できるほどの言語力を習得した後は、職場をまとめるリーダーポジションに昇格するケースも多いです。
平均時給 23.23ドル(約2,230円)
ローカルレストラン・カフェ
せっかくオーストリアで仕事をするなら、現地の飲食店で完全な英語環境で働いてみたいという方も多いでしょう。
ローカルレストランやカフェではもちろん日本語を使うことはできませんので、面接の際には上級レベルの英語話者やネイティブと競合することになります。そのため、日本食レストランよりも職探しの難易度が高くなります。
しかし、英語力に少し自信がないけれど、挑戦してみたいという方はぜひ面接を受けてみてください。
筆者も英語力には少し自信がなかったのですが「皿洗いでも何でもするし、英語も一生懸命勉強してすぐ話せるようになります」と面接担当者に思いを伝えてみたところ、やる気を認められて合格なんてこともありました。
英語漬けの仕事場なので、英語力の向上にもつながるでしょう。
平均時給 25〜27ドル(約2,400〜2,600円)
建設現場
建設業は、就業者の数と国内総生産に占める割合がオーストラリアで3番目に大きい重要産業です。
そのため、多くの建設現場が求人を出しており、アジア、ヨーロッパ、南米からの外国人留学生、特に男性が多く働いていますが、ワーキングホリデーで来ている日本人は比較的少ない職場でもあります。
高度な英語力が必要とされるわけではありませんが、仕事には危険を伴う作業もあります。そのため、上司や同僚からの作業内容や安全に関する指示を理解できる程度の語学力は、自己の安全を確保する上で必要です。
決して楽な仕事ではありませんが、給与が良いというメリットがあります。大人数が働く大規模現場から、個人で建設業を営む人のアシスタントとして働くなど、種類は様々です。
国の一大産業ということもあり、オーストラリア人も多く働いています。様々なスラングが飛び交う仕事場でもあるため、リアルオージーライフを経験することができます。
平均時給 25〜27ドル(約2,400〜2,600円)
清掃業
女性の社会進出に伴って共働きの家庭が増えていることもあり、オーストラリアでは商業施設やオフィスだけでなく、一般家庭でもハウスクリーニングサービスを利用する家庭が増えています。
ハウスクリーニングでは、清掃作業のほかに洗濯など、依頼者の要望に合わせて様々な作業がありますので、掃除や家事が好きな方に向いている仕事かもしれません。
実際、作業を行っている人たちは、外国からの移住者や外国人留学生が多い傾向があります。
高度な英語力は求められませんが、作業指示を理解できる程度の語学力は必要です。
平均時給 25〜27ドル(約2,400〜2,600円)
ベビーシッター・オーペア
ハウスクリーニングサービスと同様に、ベビーシッターもオーストラリアの一般家庭でよく利用されるサービスです。オーストラリア在住の多くの外国人がこの仕事に従事しています。
保護者の留守中に、子どものお世話をする仕事です。食事の用意を依頼されることもありますので、子ども好き・料理好きの方に適した仕事となります。
また、子どもの命を預かるお仕事ですので、大きな責任がある仕事でもあります。
日本人なら安心できることや子供に日本語を教えたいという想いから日本人をベビーシッターとして雇用したいと考える家庭も少なくありません。
また、オーペアというプログラムもあり、現地の家庭に住み込みで働くことができます。家賃や食事代が無料になることも大きなメリットです。
オーペアの場合は、ベビーシッターだけではなく学校への送迎、掃除、洗濯、料理など、家事全般を依頼されることが一般的です。そのため、日常英会話程度の語学力は必要とされます。
現地のお家に入ることで、実際にオーストラリア人の生活を体験できます。英語力を向上させるだけでなく、その国の文化や生活に触れることで、より深いワーキングホリデー体験ができるのではないでしょうか。
平均時給 25〜27ドル(約2,400〜2,600円)
日本語教師
オーストラリアでは、1906年に経済交流の拡大を図る為にメルボルンで日本語教育が始まったと言われています。近年ではアニメ文化の流行により、世界中で日本語を学ぶ人が増えていますが、実はオーストラリアにおける日本語教育の歴史は非常に長いです。
また、オーストラリアの教育機関では、外国語学習が必須の項目となっており、その中に日本語の選択肢があります。このような背景もあり、オーストラリアでは日本語を学びたいという人が非常に多いです。
ワーキングホリデーで渡航している場合、日本語学校に所属して働くよりも、SNSや紹介を通じて自ら生徒を探している方が多いです。
フリーランスとして働く場合、日本語教師の資格は必須ではありませんが、420時間以上の日本語教育に関する研修を受けたり、日本語能力検定などの資格を持っている方が、時給を高く設定することができます。
特にフリーランスの場合、自分で時給を設定することになりますが、その金額は自分のスキルや能力によって大きく変わります。
日本語教育を通じて、素晴らしい日本の文化を海外の方々に伝えることは、非常にやりがいのある仕事だと思います。
平均時給 25〜45ドル(約2,400〜4,300円)
ファーム
オーストラリアにはセカンドワーキングホリデーという制度があり、1年間のワーキングホリデービザをもう1度申請・取得することができます。
オーストラリア政府が指定する地域で88日間以上の特定季節労働をすることが申請条件となっています。
ファームでの仕事以外にも鉱山関係や建築関係という業種もありますが、多くの日本人がセカンドワーキングホリデーの申請のためにファームで働いています。
主な作業内容はフルーツや野菜の収穫・収穫物の梱包・農作物の加工や樹木の伐採作業となります。
ファームジョブは、オーストラリアのワーキングホリデーならではの仕事です。虫や暑さが苦手な方にとっては過酷な仕事かもしれませんが、オーストラリアの大自然を感じながら、日本ではなかなか出来ない体験ができることでしょう。
主に居住先はバックパッカーホステルやシェアハウスで、同じ仕事をする世界各国の仲間と大自然の中で生活することは、非常に素晴らしい経験です。
仕事内容を理解するために最低限の英語力が必要ですが、高度なレベルは求められません。
求人は現地の情報サイトにも掲載されていますが、ファームごとに労働や居住環境が大きく異なるため、口コミを参考にして職場を探すことをおすすめします。
平均時給 25〜27ドル(約2,400〜2,600円)
まとめ
このようにオーストラリアでは、仕事の選択肢が多種多様です。
母国語が英語でない私たち日本人にとって、英語で仕事をすることは容易ではありません。文化や言語の違いから、うまくいかないこともあるでしょう。
しかし、オーストラリアでの仕事経験は、今後の人生において大きな意味を持つと思います。
今回の記事が、皆さまのお役に立てれば幸いです。
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